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【プロが解説】猫が布を噛む、食べる原因と対策9つ。誤食時の対処法は?

悩むネコ
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猫が布を噛んだり食べてしまう..原因は?治せるの?

こんな疑問について解説します。

この記事で分かること
  • 布を噛んでしまう原因
  • 具体的な対策方法
  • 飼い主がしてはいけないこと
  • 異物を食べてしまった時の対処

猫が布や布製品を食べてしまうことを「ウールサッキング」といいます。

結論として、猫が布を噛んだり食べてしまう原因は様々で、ハッキリと解明されていませんしかしストレスが原因となることが多いようです。改善は難しいですが、いくつか原因があると考えられています。

ウールサッキングの考えられる原因
  • 母猫からの愛情不足
  • 飼い主の気を引きたい
  • ストレスがある
  • 食事に不満がある
  • 遺伝的な問題
  • 疾患がある
コルメル
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ウールサッキングは8か月までの子猫に多く見られます。

「布を食べてもウンチと一緒に出るからいいや」という考えは危険です。 胃や腸に詰まれば手術が必要になることもあり、命に関わります。

対策として、布類は隠す、沢山遊ぶ、食事を見直す、落ち着ける住空間にするなどがあります。猫がストレスを感じない環境を与えましょう。

この記事の信頼性

Twitter:@xCOLMELx

この記事を書いている私は「キャットケアスペシャリスト」資格を取得しています。Twitterのフォロワー数は5000人以上おり、「猫のスペシャリスト」として猫に関する知識を発信中です。

当記事の内容については学術的根拠をもとに十分な配慮をしておりますが、その効果を保証するものではありません。疑問点はかかりつけ医、または獣医行動診療科認定医にご相談をお願いします!

布を食べるウールサッキングとは?

猫が布を噛む、舐める、しゃぶる、食べることを「ウールサッキング」といいます。ウール(羊毛)をサック(吸う)するのでそのように呼ばれています。

ウール以外にも麻・絹・綿・段ボール・ビニール・ゴム製品・植物などをしゃぶる行為も意味します。これらは食べ物でないものを食べてしまう「異嗜症(いししょう)」とも呼ばれる異常行動です。 胃や腸に詰まれば手術が必要になることもあり、命に関わります。

2〜8ヶ月くらいまでの若い猫に多く見られ、ウールサッキングは「常同行動」と呼ばれています。

同じ動作を繰り返す「常同行動」とは?

猫が体の1箇所を舐め続ける、同じ場所を行ったり来たりするなど、同じ動作を繰り返す行動を「常同行動」と呼びます。ウールサッキングもこれに分類され、ストレスを軽減させたり自分を落ち着かせるための行動とされています。繰り返すことで満足感を得るので、やめさせることが難しいです。

布や異物を食べる原因9つ

猫が布や段ボールなどを噛んだり食べてしまうハッキリとした原因は解明されていません。ですが考えられる要因はいくつかあり、それらを9つ紹介いたします。

①母猫がいなくて愛情不足

ウールサッキングは母猫から早くに離れてしまった 2~8か月の子猫に多く見られます。十分に母猫の愛情を受けられなかったため、母猫のお乳を吸うように布をしゃぶってしまうことがあります。

ウールに含まれる「ラノリン」が原因

ウールには羊の皮脂腺から分泌される「ラノリン」という成分が含まれています。これが母猫の匂いを思い出させるのではないかという見解があります。 また、人間の腋から出る汗の匂いがラノリンに似ているため、飼い主が着ていた服を好んで噛んだりするのではないかとも考えられています。

③遺伝的な要因

ウールサッキングはシャムやバーミーズといった東洋系(オリエンタル種)の猫、日本猫に多く見られます。遺伝的要素が関係していると考えられていますが、具体的には解明されておらず、なぜウールを好むのかも明らかになっていません。

④ストレスがある

トイレが汚れている、運動不足、落ち着ける場所がないなど、生活環境によるストレスが要因になることがあります。欲求不満の原因を見つけ改善が必要です。恐怖心から自分を落ち着かせるためにウールサッキングをすることもあります。

⑤飼い主の気を引きたい

普段から飼い主さんがあまり構ってあげていないと、寂しさや退屈さからウールサッキングをしてしまうことがあります。飼い主さんがウールサッキングに反応してしまうと「布を噛んだら飼い主さんが構ってくれる」と認識してしまい、さらに悪化する可能性があるので注意してください。反応せずに無視することも大切です。

⑥ご飯が気にいらない・空腹

食事が気に入らなかったり、空腹や栄養不足によって布を食べてしまうことがあります。一日の食事量を計算し、猫の好みに合わせたフードを与えましょう。

⑦歯がかゆい

子猫は3ヵ月~7か月ほどで永久歯に生え変わります。この時期は歯がかゆくなり、身の回りにあるものを噛んでしまいます。子猫は遊びや興味があって布をしゃぶることもあり、その場合はウールサッキングと区別する必要があります。誤食には注意しましょう。

⑧布の味や食感が好き

洋服や布団など、布自体の味や食感が好きで噛んでしまうという説があります。本来ネコは狩りをしていた時に獲物の肉を引きちぎって食べていました。その感触が布やビニールを噛む感触に似ているようです。

⑨寄生虫や疾患がある

体内に寄生虫がいたり、どこか体に疾患があるとウールサッキングをしてしまうことがあります。日頃から愛猫の様子をしっかりと観察し、かかりつけ医に相談することも大切です。

ウールサッキングの対策9つ


ウールサッキングを改善することは非常に難しいですが、原因を予想することで改善を期待できる可能性があります。

対策はできるだけ早い段階で行いましょう。 何もしなければさらに悪化することもあります。

布を噛むキッカケを観察しよう!

対策をする前に、猫がどのような時にウールサッキングをするか観察しましょう。行動のキッカケを見つけることで対策がしやすくなります。

(例) 2月2日 21時
飼い主がソファでごろごろしていると猫と目が合い、部屋をうろうろした後ウールサッキングを始めた。10分ほど毛布を噛んで破いていた。

コルメル
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上記のように行動の前後を記録しておくと分かりやすいよ!

この例の場合、「飼い主さんが自分にかまってくれないから寂しくなって行った行動なのかもしれない」と予測できます。

原因の特定は難しいですが、キッカケが分かれば対策がしやすくなります。効果が期待できる具体的なウールサッキングの対策を9つ紹介します。

①布類は隠す

口に入れそうな布類は全て片付けましょう。服はすぐにしまう、食べそうな布製品は手の届かない所に置くなど、一番確実で簡単な対策です。布製品がある部屋には猫を入れないようにしたり、飼い主さんがいる時だけ入れるようにするなど工夫をしましょう。

②沢山遊ぶ

1日10分以上、猫と遊んであげましょう。運動にもなりストレス発散を期待できます。猫じゃらしを使い、獲物をマネて捕らえさせるような遊びをすると猫の満足度も上がります。また、ご飯前の空腹時だとよく遊んでくれる傾向にあります。お腹が空いていると「獲物を捕まえよう」という狩猟本能が高まる為です。

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なかなか猫に構ってあげられない時は電動猫じゃらしや、転がすとご飯が出てくる知育玩具があると一人遊びができます。特に知育玩具は脳の老化予防や、狩猟本能を刺激しながら獲物を捕まえるという達成感を得られます。

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③部屋やトイレを掃除する

部屋が散らかっていたり、猫のトイレが汚れているのは猫にとってストレスです。トイレが汚れていると粗相の原因にもなります。生活環境を見直し、少しでも猫が落ち着ける住まいを作りましょう。

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④安心できる場所を作る

安心できる場所があるとストレスが和らぎます。例えば箱の中やソファの下など、猫が隠れられる場所があると自分だけの落ち着く空間になります。また、部屋を見渡せる高い場所があると猫が安心します。高所はテリトリーで異常がないかを確認できる落ち着く場所です。キャットタワーを置く時は布を使わないタワーを置けば嚙まれる心配がありませんね。

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⑤食事の回数を増やす

猫は本来1日に何度も狩りをし、10回以上に分けて食事をしていました。こまめにご飯を与えることで猫の満足度が増し、ウールサッキングが改善することがあります。まずは1日に与えるご飯の量を決め、それを1日4回以上に分けて与えてください。自動給餌器があればセットした時間に決まった量のフードが出るので、外出時でもご飯を与えることができます。

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⑥フードを変える

噛みごたえのあるご飯や、食物繊維が多く含まれたご飯を与えるという方法があります。食事を変えただけで改善するかというと難しいですが、フードを変えるだけで少しでも治る可能性があるのなら試してみたいですね。

※療法食を与える場合は必ず獣医師の指示に従ってください。

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⑦猫草を与える

猫草を与えるだけで解決することがあります。猫草とはネコが好んで食べる草のことで、エン麦や小麦などイネ科の植物を指すことが多いです。猫草を食べるのはビタミンや食物繊維が不足していたり、胃の粘膜を刺激して毛玉を吐き出すためと考えられています。しかし猫草を食べる理由はハッキリと分かっていません。単に草の噛み心地を楽しんでいることもあるようです。

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⑧猫が嫌うニオイを付ける

猫が苦手な柑橘系のスプレーや、舐めると苦いビターアップルなどを噛んでしまう物に吹き付けましょう。「これは嫌な味がする」と学習して近づかなくなるまで根気よく続けます。猫が噛んでしまう物を「嫌なもの」と認識すれば自然に治まる可能性があります。他にも、ウールサッキングをする直前に水の入ったスプレーを猫に吹きかけるなど、「噛んだら嫌なことが起きる」ことを認識させると改善する可能性があります。

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⑨病院に相談する

ウールサッキングをしてしまう時の状況を詳しく記録し、獣医さんに相談してみましょう。その際に写真や動画があると伝わりやすくなります。動物の行動学に精通している獣医行動診療科認定医に診察をお願いすると心強いです。

してはいけないこと:叱るのは絶対にダメ!

叱るとストレスになる

猫が布を噛んでも決して叱らないでください。飼い主さんの対応がかえって不安やストレスになり、悪化する可能性があります。猫は怒られてもなぜ駄目なのかを理解することはできません。叱るよりも防ぐことが大切です。

ウールサッキングをしても騒がない

布を噛んだからといって飼い主さんが騒ぐと「布を噛んだら構ってもらえる」と勘違いされます。ウールサッキングをしていても関心を向けないようにしましょう。

ケージに入れるのは逆効果

ウールサッキングの対策として「ケージに入れる」ことを推奨しているサイトもありますが、あまりオススメできません。なぜなら、ケージに閉じ込められることでかえってストレスがたまり、問題の悪化や、別の病気を引き起こす可能性があるからです。できるだけケージは使わない対策を考えましょう。

もしも食べてしまったら

異物を食べてしまった場合は速やかに動物病院を受診しましょう。 その際に誤食した物の写真があると伝わりやすいです。 胃や腸に詰まれば命にも関わり、手術が必要になることもあります。 飲み込んだものが小さかったり、症状がなくても念のため獣医師に相談してください。

注意1:異物を食べてしまった後にご飯を与えないこと

ご飯を食べてしまうと胃の中にあるご飯が邪魔をし、内視鏡で異物を取ることが難しくなります。内視鏡で摘出できない時は切開手術が必要です。

注意2:お尻から異物が出ていても引き抜かないこと

口やお尻から紐や糸などが出ている時は絶対に引っ張ってはいけません。腸まで引っ張られると、腸が塞がれる「腸閉塞」になる可能性があります。イメージとしてはパーカーの紐を引くとキュッと締まる感じです。

コルメル
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お尻から紐が出ていたら、出ている分だけハサミで切りましょう。

愛猫の命を守るためにも自己判断せず、病院を受診してくださいね。

まとめ:猫にストレスのない生活を心がけよう!

布を食べてしまうウールサッキングは改善することが非常に難しく、ハッキリとした原因も分かっていません。しかしストレスや遺伝などが要因と考えられています。

大きく6つのポイントを抑えておきましょう。

  • ウールサッキングは早期離乳した猫に多い
  • ストレスや遺伝などが原因と考えられている
  • 猫が噛んでしまう物を部屋からなくす
  • 毎日たくさん遊び、構ってあげる
  • 布を噛むキッカケを観察する
  • 安心できる環境を作る
  • 布を噛んでも叱らない

ほとんどの猫は2歳くらいまでに自然とやめることが多いようです。やめさせるには長い時間をかけ、根気が必要になります。

悪化する前に早めの対策をし、少しでも異変を感じたら動物病院に相談しましょう。

少しでも症状が改善することを祈っております。

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5 COMMENTS

あやこ

初めまして!
うちには7歳♀、3歳♀の2匹がいまして、3歳の子が寝起きによくウールサッキングをします。ひどく噛んで引きちぎったり、しゃぶって切れ端を飲み込んでしまったり。
コルメルさんの記事を拝見し、母猫の愛情不足かな、と。
下の子は目が開いてすぐ位の時期に、野良の母猫から離され保護されて引き取った子で、上の子が寝ているお腹に顔を埋めたりして甘えに行きますが、上の子は怒って甘えさせてあげません。
私の後を追って甘えた声でくっついて来ます。
母猫の愛情不足の場合は対処方法はありますか?

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コルメル

あやこさま、初めまして。コメントありがとうございます!
ウールサッキングが酷いとのことですが、正直やめさせるのは非常に難しいです。ただ、まだ3歳と若いので今後落ち着いてくる可能性はあると思います。
甘えた声でくっついてくるのは猫が人と離れることでストレスを感じる「分離不安症」も関係しているかもしれません。愛情不足が原因かもと飼い主さんが常に猫に構ってしまえば外出時に大きなストレスを感じることもあります。そうするとウールサッキングも悪化するかもしれませんよね。猫に対して素っ気ない態度をとることも時には必要になります。
あとはやはりどういう時に布を噛むか観察し、そのキッカケを知れば対策は考えやすいでしょう。ペットカメラで録画をして普段の様子を観察すると分かりやすいです。詳しい対策について本記事を参照していただければと思います。
ご存知かもしれませんが「フェリウェイ」という商品もオススメです。これは猫が落ち着くとされるフェロモンを出してストレスを減らせるというものになります。
また、記事でも触れていますが毎日沢山遊んでストレスを発散させてあげてください。人間も体を動かしたら不安なこととかどうでも良くなったりします。それと同じで運動は1番良いストレス発散方法だと思います。
回答は以上になります。猫さん達の普段の詳しい生活が分からないので断定的に答えるのは難しいですがお許しください。少しでも何か参考になったなら幸いです。

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あやこ

早々に返信いただきましてありがとうございます!
お礼が遅くなりまして申し訳ありません。
ウールサッキングをするタイミングはいつも寝起きです。まだ寝ぼけているくらいのタイミングでいつも噛んでます。
赤ちゃんのおしゃぶりみたいに甘えてるのかな、と思ってましたが、起きている時の遊びが足りない可能性もあるとのことですね。
2匹で追いかけっこしたり、私もレーザーで遊んだりはしてますが、遊びの内容を見直してみます。
あとフェリウェイは初耳でした。フェロモンで落ち着かせると、良い商品も出ているのですね!
しっかり遊んでも改善されなければフェリウェイも試してみたいと思います。
この度はありがとうございました!

返信する
コルメル

こちらこそお返事ありがとうございます!
寝起きのウールサッキングは赤ちゃん返りしているのかもしれませんね..
それとレーザーポインターは遊んでも捕まえられないのでストレスになる可能性があります。猫の狩りは獲物を追いかけて捕まえるところまでがセットです。実はレーザーは使い方がありまして、「遊びの最初のキッカケ」にすることです。レーザーで狩猟本能を刺激してから猫じゃらしで遊んであげる。最後に獲物を捕まえさせてあげると猫が満足します。

猫さんとの生活がより良くなることを願っております✨

返信する
あやこ

レーザーは返ってストレスを与えてたのですね…勉強になります!
猫じゃらしで思いっきり遊んであげようと思います!
本当にありがとうございました!

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